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EUにおける医療データ管理の革新

作成者: Sofie Krabbe|2025.09.17

信頼とコントロールが感じられなければ、人々は自分の医療データへのアクセスを他者に許可することに不安を抱きます。

データの利用状況が不透明であることも、不信感を助長します。特に、個人情報の不正利用や漏えいが信頼を損ない、医療サービス全体への評価にも悪影響を及ぼしかねません。

CRANEプロジェクトのご紹介

Partisiaは、Data for Good Foundation(DfG)、METEDA、Tech4Care、Cardiolyseと連携し、EU全域における医療データ管理の変革に向けたプレ商用調達プロジェクトに取り組んでいます。

65歳以上の高齢者が人口の19.5%を超えると、自治体は医療・介護体制の脆弱性を抱えるようになります。

先進国の多くの都市では、今後20年以内にこの水準を超えると予測されており、高齢化の進行は医療システムに大きな負荷をもたらす深刻な課題となっています。

ヘルスデータ活用の未来を切り拓く、連携による挑戦

 

自己管理がスピーディーな対応力を強化

このプロジェクトの目的は、慢性疾患を抱える患者のウェルビーイングを高めるセルフマネジメントモデルを、オープンで透明性が高く、公正なプロセスを通じて構築することです。

GDPRに準拠したエンドツーエンドのデータ保護を実現し、情報漏えいリスクを低減しつつ、個人が自身のデータに対するコントロールと透明性を保てる技術基盤の構築を目指します。

これにより、新たなビジネスエコシステムの創出と、地方地域におけるセルフマネジメントモデルの有効性検証が期待されます。

本プロジェクトでは、以下の3つの慢性疾患に重点を置いています:

糖尿病

慢性閉塞性肺疾患

心血管疾患

 

医療成果の向上に向けたデータ連携の強化

セルフマネジメントサービスは、個人データのモニタリングに基づき、医療機関や介護サービス、その他関係者との円滑な情報共有と連携を支援します。

スマートウォッチやスマートフォンなど複数のデジタル機器から得られるデータを統合することで、個人の健康状態を包括的に把握することが可能になります。

こうしたデータには、歩数、心拍数、血糖値などが含まれます。

「弊社では、異なるサービスプロバイダーからのデータソースを組み合わせることで、患者の安全な自己管理を強化しています。市民中心のガバナンスとインフラモデルにより、個人が自身のデータの使用を確実に管理できるようにすることで、サービス間のデータ共有を可能にするだけでなく、市民に便利をもたらし、研究者がデータの使用を最大限に活用できる道を開き、ひいては『データを善のために使用する』という概念を可能にするエコシステムを提供しています。」
キム・ノースコウ Partisia プロダクトマ・ネジメント・ディレクター

本プラットフォームに統合された各種データは、リアルタイムでの分析やアラート設定を可能にし、医師や家族などの非公式なケア提供者が遠隔で健康状態を見守ることを支援します。

これにより、セルフマネジメントが強化され、従来は得られなかった重要な健康情報へのアクセスが可能になります。

これらのデータを組み合わせて分析することで、アラートの設定が可能になり、医師やご家族などの支援者が、あなたのダッシュボードにアクセスして健康データを確認できるようになります。

「つまり、これにより各疾患のセルフマネジメントが強化されるだけでなく、これまでアクセスできなかった健康データにもアクセスできるようになるのです。」

キム・ノースコウ Partisia プロダクトマ・ネジメント・ディレクター

Data for Good Foundation(DfG)は、デンマークの厳格な財団法のもとで運営される非営利団体です。

この法的枠組みにより、DfGは信頼性と独立性を備えた「データのアンバサダー」としての役割を担っています。

Partisiaが提供するMPC(マルチパーティ計算)技術を基盤に、DfGは市民がプライバシーを損なうことなく自身のデータを共有できるインフラを構築しています。

Data for Goodプラットフォームを、サービス提供者と患者(ステークホルダー)との仲介役として活用することで、データ共有に対する同意の新たなあり方が実現されます。これはこれまでにない革新的なアプローチです。

Partisiaは本プロジェクトにおいて、ブロックチェーン技術の提供という大きな役割を担っており、これにより「誰が、いつ、どのような外部データソースの共有に同意したか」という事実を改ざん不可能な形で証明することが可能になります。

Partisiaは、本プロジェクトにおいて、高い専門性を持つコンソーシアムの一員として、EUの医療分野における個人データの収集・保存・アクセスの在り方を根本的に変革する新たな技術ソリューションの設計・開発・検証に取り組んでいます。

Partisiaが提供するプラットフォームを通じて、個人の同意が得られた場合に限り、異なる医療サービス間でのヘルスデータの自由な流通が可能になります。


「ここでは、プライバシーと同意が最も重要視されており、ユーザーは自らのプライバシーを守りながら、安全にデータを共有することができます。 信頼とプライバシーが確保されている環境であれば、市民はより多くの目的のために自分のデータを進んで共有しようとするのです。」

キム・ノースコウ Partisia プロダクトマ・ネジメント・ディレクター

CRANEプロジェクトは、市民に医療データの主導権を取り戻す力を与えることを目指しています。

ユーザーがプライバシーを保ちながら、自身のデータに対する透明性とコントロールを持てるようになれば、信頼が生まれ、自発的にデータを共有してくれることが期待されています。
 

私たちの取り組みやパートナーシップについて、ぜひお気軽にご連絡ください。

キム・ノースコゥ、チーフ・サクセス・オフィサー kim.norskov@partisia.com

ハンス・ソマー 、プロジェクト・マネージャー hans.sommer@partisia.com